初めての出産・育児でわからないことだらけの中、最初にぶち当たる授乳という壁。
「母乳がいいと聞いたけど、私にもできるのか不安。」「母乳育児ってどんなかんじ?哺乳瓶は買っておいたほうがいいの?」
こんなお悩みを抱えたプレママさん達も多いのではないでしょうか。
この記事では、母乳で育てたいプレママさんに向けて、母乳育児の疑問と最初の2週間の過ごし方について徹底解説していきます。
記事を最後まで読んで、母乳育児のイメージができたのならば、あなたの不安はワクワクに変わり、赤ちゃんに会える日がますます待ち遠しくなることでしょう。
ぜひお腹の赤ちゃんのことを想いながら、最後までお読みください。
そもそも母乳ってなに?
母乳って何からできている?
母乳は「白い血液」とも言われ、主成分は血液です。血液なのになぜ白いのかというと、血液の赤色は赤血球という細胞によるもので、母乳がつくられる過程で取り除かれるためです。
母乳はプロラクチンというホルモンの作用により、乳腺(母乳の工場)で血液中の栄養が取り込まれてつくられます。
したがって、母乳に含まれる栄養は血液中の成分とほぼ同じ。タンパク質や脂質、糖質、ビタミン・ミネラル類、母親由来の免疫物質や消化酵素など、赤ちゃんの成長に大切な成分が多く含まれます。現代の技術でも、母乳と同じ成分のミルクは作れないといわれています。
赤ちゃんにとっての完全栄養食である母乳。少しでも多く赤ちゃんに飲んでもらいたいですよね。
母乳が出るメカニズム
母乳を作る準備は、実は妊娠中期から始まっています。乳腺の発達にともない、胸が大きくなり、人によってはじわりと乳汁がしみ出ることもあります。すべてのママは妊娠中から母乳をあげる準備をし、出産し胎盤が出た瞬間に母乳分泌モードに切り替わるのです。
ただし、産後すぐに母乳が出るわけではありません。詳しい説明は以下にあります。
母乳が出るメカニズムとしては、まず赤ちゃんがおっぱいを吸う刺激が引き金となり、母乳をつくるホルモン(プロラクチン)と母乳を出すホルモン(オキシトシン)が脳から分泌されます。
この二つのホルモンによって、赤ちゃんは母乳を飲むことができます。赤ちゃんが母乳を飲むことで更にプロラクチンが分泌され、母乳もたくさんつくられるようになります。
ママと赤ちゃんがお互いに作用し合うことで母乳育児は始まるのです。まさに二人三脚。
なお、オキシトシンは幸せホルモンともいわれており、母乳を出すだけでなく産後の子宮の戻りをよくしたり、副交感神経を優位にさせて、心身共にリラックスさせる効果などもあります。
母乳育児が軌道に乗るまで
では、母乳育児の実際をみてみましょう。今回は産後に母子同室を行うママの生活をイメージしてみましょう。
【産後1〜2日目】生まれてすぐ母乳が出るわけではない!
母乳をつくるホルモン(プロラクチン)によって本格的に母乳が作られていきます。産後はまだ母乳の通り道(乳管)が開通しきっておらず、初乳といわれる最初の母乳がほんのりにじむ程度。しかし、この時期にたくさんおっぱいを吸ってもらうことが何よりも大切になります。
たくさんってどのくらい?と思う方。欲しがったら何度でもです。間隔は3時間はもたないことがほとんど。赤ちゃんの欲しがるままに母乳をあげていると1日10回以上になります。
多くの産院では、「生まれたその日から日齢×10mlのミルクを3時間ごとに飲ませてください。」と言われます。粉ミルクを飲んでもらうことは、低血糖や脱水、黄疸の予防につながります。しかし、生まれたての赤ちゃんの胃袋の容量は約2ml/kg。平均的な3000gで生まれた赤ちゃんでもおよそ6mlです。
生まれてすぐ満腹までミルクをもらった赤ちゃんは、眠りがちになることが多くなります。そうすると、おのずと母乳をあげる間隔が伸びてゆき、お乳への刺激が減ってしまいます。
先ほどお伝えしたように、産後母乳をつくる手助けになるのは、赤ちゃんがおっぱいを吸う刺激です。
なので、できるだけたくさんおっぱいを吸ってもらいましょう。
ミルクを使用する場合は、赤ちゃんの様子を見ながら、タイミングや量など産院の助産師・看護師さんと相談していけるといいですね。
ちなみに母乳をつくるには、休息もとっても大切です。疲労困憊の産後すぐにやってくる赤ちゃんのお世話と授乳でヘトヘトかと思います。日中も合間の時間にしっかり睡眠をとったり、産院のスタッフのサポートも受けながら休息もしっかりとっていきましょう。
【産後3〜8日目まで】母乳いっぱいつくるぞモード
この時期から、ママの体は一気に母乳いっぱいつくるぞモードになってきます。そのため、赤ちゃんが飲みとれる量以上の母乳がつくられたり、つくった母乳を外に出す乳管が開通しきっていないなどの要因でおっぱいがパンパンになりやすいです。パンパンに張ったおっぱいの痛みで横向きになるのも辛いという方も。
しかし、これはお乳の正常な反応です。産後2日目までたくさんプロラクチンをつくった成果です。お乳を冷やしたり、水分をしっかりとって、肩まわしなどのストレッチで循環をよくすることで改善していくことがほとんど。
また、この時期は赤ちゃんもママも授乳に徐々に慣れていく時期でもあるため、乳首のトラブルも起こりやすいです。これらは飲ませ方や抱き方を整えることで改善していきます。
【産後9日目〜2週間】母乳自動調節!?母乳のドリンクバー
この時期になると、ママの体も徐々に授乳という体の変化に慣れてきます。母乳いっぱいつくるぞモードから必要な分だけつくるぞモードに変化。赤ちゃんが飲みとった分だけの母乳がつくられるようになります。パンパンに張ったお乳の痛みも和らぎ、赤ちゃんとママの需要と供給がマッチしてきます。
母乳が足りないときは、赤ちゃんの欲しがる頻度も多くなります。おっぱいへの刺激が多くなると、母乳の分泌も赤ちゃんの要求に応えるように増加していきます。例えるならば、母乳のドリンクバー(自動調節機能付き)。赤ちゃんが欲しがったタイミングでいつでもどこでも新鮮で美味しい母乳を飲ませてあげることができます。便利な仕組みですね。
ここまで来たら、もう母乳育児は軌道に乗っています。
ざっくりとした説明でしたが、イメージはつきましたか?
次は実際に寄せられた母乳育児に関する質問をまとめてみました。母乳育児への理解がもっと深まること間違いなしです。
母乳育児 Q&A
母乳って本当に痩せるの?
はい。痩せます。
母乳のカロリーは50-60kcal/100mlです。赤ちゃんが一日で飲む母乳量の目安は150ml/kgといわれています。生後1ヶ月、体重5kgの赤ちゃんで換算すると一日に約600〜800ml母乳を飲むことになります。
したがって、ママは1日で約700-800kcalを消費していることになります。これは1時間半のジョギングをしたときの消費カロリーとほぼ同じです。
また、授乳中にでるオキシトシンは産後の体の戻りをよくする作用もあるため、母乳育児を継続することはママの体型を戻す一番の近道といえそうです。
預ける時はどうすればいいの?
母乳育児中でも預けることはできます。
搾乳を冷蔵もしくは冷凍保存しておき、家族や預け先の方に飲ませてもらう方法があります。中には、哺乳瓶の乳首とママのおっぱいの違いに混乱してしてしまう子や、哺乳瓶をまったく受け付けない子もいます。そのような子にはスプーンやカップで少しずつ飲ませてあげる方法も有効です。
ただし、長時間授乳をしないとなると、ママのおっぱいもカチカチに張ってきてしまいます。搾乳ができる環境があれば軽減されますが、そのまま放置してしまうと乳腺炎などのトラブルにつながる恐れもあります。離乳食が始まり、授乳の間隔が伸びてくるまでは、長くても半日程度の外出にとどめるのがオススメです。
家族の協力が得られるのであれば、外出先まで赤ちゃんと同行してもらい、用事の合間に授乳をしてまた預けるという方法も有効です。
哺乳瓶とミルクは準備しておいた方がいい?
必要となったときで大丈夫です。
上述の方法で母乳育児ができれば、哺乳瓶は必要ないことがほとんど。どうしてもミルクや搾乳を足したいときや、外出で預ける必要が出てきたというときに購入を検討しましょう。
また、哺乳瓶といっても、さまざまな乳首の形や大きさがあります。生まれてから、赤ちゃんのお口の大きさや飲み方にあった乳首を準備するのが一番いいかと思います。今は薬局やネットで哺乳瓶やミルクはすぐに手に入るので急いで準備する必要はありません。
陥没乳頭と言われたけど授乳はできる?
はい、できます。
どんな赤ちゃんでも本能的にママのおっぱいに吸い付くことはできます。陥没乳頭や扁平乳頭といった形のおっぱいであっても、練習を重ねれば乳首にも柔軟性が出てきて吸い付きやすくなります。
乳頭保護器などを使用していても、時期をみて外すことも可能です。産院や地域の助産師さんと相談しながら、母乳育児を進めていきましょう。
胸が小さいけど母乳がでるか心配です。
胸の小ささと母乳の分泌は関係ありません。
胸の大きさは乳房の脂肪組織。授乳に関係するのは、乳腺という部分です。したがって、胸の大きさと母乳の出方の関連性はありません。
まとめ
母乳は血液からできた完全栄養食
母乳育児は最初のおっぱいへの刺激が何よりも大切
母乳育児のイメージはつきましたか?
今後も母乳育児について、さまざまな記事を執筆していきたいと思います。ご意見・メッセージ等ありましたらお気軽にお問い合わせください。
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